2011/09/17

After Hours Athlete です。
PUMA SOCIALの広告。

FILM CRAFTでGrand Prix。
つまり、今年世界で最も上質なCMだと評価された作品です。

【概要】

卓球、ボーリング、ビリヤード、ダーツなどを、
バーで楽しむ若者たち。
登場している彼らは、第一線のアスリートたち。
つまり、描かれているのはトップアスリートのオフの時間。夜の時間。

彼らもまた、普通の若者のように、
酒場で盛り上がったり、ゲームに夢中になって喜んだり、くやしがったりしながら
空が白むまで、その時間を生きる人間。

そんな彼らに寄り添っているのが
PUMA Social。

【ここがスゴイ!】

エージェンシーはDroga5で、監督は巨匠Ringan Ledwidge。
表現としてのすばらしさは、口を差し挟む余地もないですが、
ただ、スゴイ!と言って見るだけでは、くやしいので、
いろいろ分析してみます。

まずコピーですよね。ポエムです。
葵さんの国際部のブログに全文が載っていたので、
転載させて頂きます。(ありがとうございます!)
http://www.aoi-kokusaiblog.com/?p=4239

Back spin on a work table under bad light.
A kiss of the eight ball, a bank on the 6th.
Double ball on a single throw three pints in.
Picking up a spare on the final frame.
Singing on key, off key and losing keys.
Steady hands, blurry eyes.
Bars, billiards, basements, bacon sandwiches with extra hot sauce.
Surviving buzz kills, third wheels, cock blocks and calves in the ring.
Finish lines drawn by dawn.
These are the providence of the after hours athlete.
When last call calls, don’t answer.
The night too is for sport and they are the champions.
Here’s to the after hours athlete.

このフィルムが表現として成功しているのは
単純に「OFFのアスリート」を描いているように見えて、
実は、重層的に意味が重なっているからだと思います。

このPUMA Socialラインはいわゆるタウンユースのライン。
普通は、差別化としてスポーツ選手でなく、ストリートの人間を
キャスティングしたくなります。
なぜならスポーツ選手を使うとスポーツラインの商品に
どうしても見えてしまうから。

ところがそれをしていません。
その理由について僕は2つ感じました。

ひとつは、PUMAはこのタウンユースのラインを
街のアスリートをチャンピオンにするライン、
つまり街で生きることもまたスポーツであると捉え、
PUMA socialはそんな彼らをサポートするブランドだと
ポジションしているから。
それは前掲のコピーの最後の部分

The night too is for sport and they are the champions.
Here’s to the after hours athlete.

を見てもわかります。

もうひとつは、あえてスポーツ選手のafter hoursを描くことによって
逆に街のリアルを描くことができるという対比のギミックを狙ったこと。

普通の街にいそうな若者が、このCMで描かれていることをしていても
「フツー」になってしまいます。
いつもフィールドの上で脚光を浴びているスターアスリートのafter hoursで
あるからこそ、リアルを感じられるのです。

(こと広告に関して、リアルを描くのと、リアルそのものは違うということは
ここでも書いたので、お時間があればご覧ください。)
http://senryakutengoku.com/isobetti/494

そして、このCMのタイトル、コンセプトがAfter Hours Athleteであること、
このAfter Hoursにもちょっとした仕掛けがあると感じます。
このAfter Hoursはダブルミーニングとみました。僕は。
アスリートたちの仕事の後、フィールドの外の時間という意味以外に、
ディスコ/クラブとかで用いる用語としてのAfter Hours、
つまり、閉店間際の明け方の時間という意味。

ディスコ/クラブに行く人、徹夜で遊ぶ人は共感してもらえると思いますが、
夜が明けはじめ、日が昇り、遊び疲れた体を引きづるこの時間には
独特のけだるさ、アンニュイさがあります。
途中で帰ったり、異性とどこかに消えたりせずに、
その気分を感じる時間まで仲間とつるんではじめて遊びきった!というもの。
After Hoursになるまで、仲間と夜を駆け抜けた者こそが、街のチャンピオン。
本物の街のアスリート
なんだということだと思います。
PUMA Socialはそんな人たちのためのブランド。
フィルム一本で、そのメッセージが強く強く届いてきます。

FILM Craft部門ですが、表現技術というだけでなく、
ブランドの本質と、生活者を深くつないでいるという意味で
戦略的に優れている作品だと感じました。

このエントリーをはてなブックマークに追加

Check

Clip to Evernote

コメント

コメントをお寄せください。

コメントの投稿

Spam Protection by WP-SpamFree

トラックバックURL: http://www.isobekoki.com/interestingads/1536/trackback