2010/12/12

さあ、基本の話でぐずぐずしてはおられません。
プランニングは進化してます、急ぎます。

今回はプロポジション(Proposition)。

「プロポーズ」の名詞形ですので、
日本語で言うと「最も伝えたいこと」となります。
ざっくりメッセージという言い方でもいいでしょう。
その意味で、クリエイティブブリーフの中核をなすパートです。

ところがこのプロポジション。
きちんと書かれていることが、ホント少ない。
実は意外と難しいんです。これが。

ということで、今日はプロポジションについて、
書いていきましょう。

僕の主張は2つ。

・プロポジション2段階説
・プロポジションの5文型

です。

よく戦略系のプランナーがしたり顔で、
「what to say」は、戦略プランナーが決めて、クリエイティブは「how to say」を考えればいいんだ、
などと言いますが、そんなことを言う人に限って、いいブリーフが書けていないことが多い。
(あれ、なんか最初からdis入っちゃってますか?)

そういう僕もいつも、うんうん悩みます。
難しいんです。プロポジションの設定は。
逆にいうとすべてのプランニング作業は、プロポジションを見つけるためにある
といういう言い方をしてもいいかもしれません。

別の言い方をすれば、多くの場合、
事実上プロポジションの設定を、クリエイターに委ねていることが
多いとも言えます。

まずは、カンタンな例を先に片付けましょう。

たとえば、担当商品が、「競合差別性」が明確で、「顧客のニーズ適合性」も十分なら。
その商品特徴、ベネフィットがプロポジションになります。

○○○(商品名)は、△△△(ベネフィット)してくれる。

という書き方をすれば、事足りる。
それをクリエイターは素直に受けて、そのベネフィットをどう表現するかに
フォーカスをあててプランニングをすればいいだけです。

ところが、今時、そんなすばらしい商品がいくつもない。
感覚で言うと、全体の1割にも満たないと思います。
そうなると、残り9割の商品に関してはプロポジションの設定で
大いにアタマを悩ませないといけないわけです。

たとえば、「この商品、悪くはないんだろうけど、差別性も、インパクトも弱いなあ」
という商品を担当というケースで考えてみましょう。
それでも、この商品が売れるようにするために、魅力を引き出し伝えるために。
いろんな方法を考えないといけません。
もしベネフィットをそのまま言うだけではダメでも、

その属性、成分が信頼をつくれるかもしれない。→ミクロジンクピリチオン配合等
なにか外部からの権威付けが役に立つかもしれない。→モンドセレクション授賞等
ターゲット像を顕在化することが魅力化になるかもしれない。→イクメン等
使用シーンを新しい「習慣」として根付かせることはできないか。→朝シャン、バレンタインデー等
ネーミングを刷り込めば、店頭で記憶が戻って買われる→スコーンスコーン湖池屋スコーン等
企業ブランドへの信頼で、商品を買わせよう→いろいろ
単にCMタレントでなく、もっと深くタレントとブランドを関与させよう→紀香の~等
店頭にさえ来させれば、あとは営業が説得できる→来店誘導CM
(あまり最近の例だと生々しいので、昔の例をあえてあげてます)

まだまだ全然書ききれません。とにかくいろいろやり口があるわけです。
この時、プロポジションはやり口によって変わるわけです。

Aブランドは、△△でできている。
Aブランドは、△△の時使うのがいちばん。
Aブランドは、会社△△のすべてがつまった商品です。
Aブランドを試そう、日曜は△△のお店で。

などなど。
つまり、

伝え方の手口によって、プロポジションは変わりうる

のです。厳密に言うと。
では、実際にどうやってプロポジションを書いていけばいいか。

ここからは磯部の考えです。

磯部は、入口のプロポジションと、出口のプロポジションという言い方を
しているんですが、プロポジションはプラニング過程において2つの段階があると
考えるとわかりやすいと思います。
そのどちらを書いているのか自分で認識した上で書くことがまずは重要だと思います。

<入口のプロポジション>

これは「商品オリエン」に近いものです。
商品の特性をまとめて、その訴求点を書いたプロポジションです。
商品USPと言ってしまってもいいかもしれないです。

○○○(商品名)は、△△△(ベネフィット)してくれる。

みたいな書き方になるでしょう。ここが出発点です。

ここでクリエイターに渡してしまうという仕事の仕方もあります。
クラシックな仕事スタイルではそうすることが多いと思います。
大CDがついている場合もそうなることが結構あります。
要はクリエイターに、「これで上手に料理して」と渡す訳です。

このプランニングの商品オリエン段階で
クリエイターにお任せにする場合、いくつか長所と短所があります。

<長所>
・クリエイターの自由度が高い。センスが生かしやすい。
・表現オリエンテッドの企画ができやすい。

<短所>
・クリエイターが自分の得意な広告話法にはまるプロポジションを
選択しやすいため、売れるためのツボをはずす可能性もある。
・一般に競合プレゼンに弱いことが多い。(アウトプットがロジカルに説明しづらい)

クリエイティブにどの段階で渡すかは、
営業の腕の見せ所という側面もありますね。
要は、この難しいプランニングを何で突破するか、誰で突破するか
という側面もある訳です。

<出口のプロポジション>

先ほど、たくさん例を挙げたプロポジションのパターンはすべて
表現に直結したプロポジションであると同時に、
コミュニケーションの道筋、ターゲットに届くためのツボでもある訳です。
磯部は、これを見つけることこそがプランニングだと思いますし、
ここにプランニングのカタルシス(快感)があると感じます。

僕はよく「世界地図を塗りつぶす」という表現を使うのですが、
この「ツボ」となるプロポジションをみつけるのには、
水平思考で(つまりいくつも代案を出すブレーンストーミング的に)
あらゆる戦略切り口が探す必要がある訳です。

プランニングもこの段階になってくると、
AだからB。BだからC。というような垂直思考が通用しなくなります。

それは、答えがひとつではないからです。

Aだから、Bかもしれない。でも、Cかもしれない。
Bだとすると、それはDかもしれないし、Eかもしれないという風に
正解のない作業の森を突き進んで、より正しく強く効果的な方法を
たくさんのオプションの中から選び取って前進するものなのです。

ちなみに、磯部は最初の戦略打ち会わせに
10方向くらいの戦略切り口(=プロポジション)仮説メモを持って行くことが多いです。
そして、その打ち合わせで議論が前進したら、またその出発点から
次の段階の複数の戦略仮説を持って行き、
その次の打ち合わせでは、今度複数の施策アイデアを持って行き、
という風に仕事を進めていきます。

「切り口の多さ」つまり「視点の豊かさ」が
アカウントプランナーの質を決めるといっても過言ではないと思います。

まとめます

・プロポジションとは、「広告でもっとも伝えたいこと」

・商品USPとしてのプロポジション(入口)と、
 コミュニケーションルートとしてのプロポジション(出口)がある。

・前者は垂直思考で設定できる。後者は水平思考で「見つけ出す」「選び取る」もの。

・出口のプロポジションを探し当てることこそが、プランニングのカタルシス

です。
次回は、プロポジションの5文型の話をします。

このエントリーをはてなブックマークに追加

Check

Clip to Evernote

関連記事

    None Found

コメント

朝霞市でGデザイナーをやっている者です。
プロポジションの意味を探していたら、このサイトにたどりつきました。

「ほこ×たて」という番組で勝利するというのはかなりプロポジションの手法に近い感じがするのですがどうお考えになりますか?
(唐突な質問で申し訳けございません。)

参考になりました。ありがとうございました。

2012/05/13 10:11 | 大戸智華

コメントの投稿

Spam Protection by WP-SpamFree

トラックバックURL: http://www.isobekoki.com/planning/158/trackback