2011/01/10

得意先「オリエン」と、「クリエイティブブリーフ」の違いがわからない。

これが、多くの広告に関わる人の疑問、言い換えれば
クリエイティブブリーフの定着が阻んだ大きな要素のひとつと言えるかもしれません。
今日はその話を整理します。

クリエイティブブリーフは、クライアントオリエンを「代替」するものか、
つまり、オリエンのフォーマットの一種なのか。

あるいは、オリエンを受けたあと、アカウントプランナーが
「オリエン」の解釈を進めて書き直す、別物なのか。

ブリーフはクリエイティブに渡す時に、事前にクライアント担当者と
合意されているべきものなのか。
クリエイティブプレゼンへの導入としてコミュニケーション戦略を語る際に提出するもの
つまり「プレゼン」の一パートなのか。

日本的な広告ビジネス慣行とも大いにからんできます。
そのことに関する私見を書きたいと思います。

以下は「商品オリエン」と「クリエイティブブリーフ」の違いを比較してみたチャートです。

商品オリエンが、すべての出発点であることは疑いのないことですが
しかし、商品オリエンから、クリエイティブ開発に直接行くのは、
現代のマーケットを戦う上で、とてもナイーブなことです。

なぜなら、それは
①商品が、十分に差別的優位性を持っている
②ターゲットが、その商品カテゴリーに高い関心を持っている
③十分な媒体量が確保できる

というむしろ極めて「レア」なケースでしか、成立が難しいやり方だからです。
そりゃあ、商品がすごく差別化されていれば
そりゃあ、ターゲットがすごくその商品カテゴリーの情報に興味津々なら
そりゃあ、普通に広告するだけでも十分接触機会得られるくらい、お金があるなら
あまり余計なことは考えず、素直にその差別性→ベネフィットを語る広告をつくればいい。
以上、終了!お疲れ様でした!ですよ。
でも、そんなこと、ホントに少ない。

誤解のないように申し上げておきますが、
優秀なクリエイティブディレクターというのは、
戦略的視点を持ちながらクリエイティブをディレクションできる人なわけなので
商品オリエンを直接クリエイターに行うのは、全く問題なく、むしろ好ましいです。
ただ経験から言って、実際の「プランニングプロセス」は、
商品オリエンをもらって、いきなり表現開発と、そう一足飛びでいく訳では絶対ないです。


そこで必要なのが、クリエイティブブリーフ(あるいはその役割を果たすプロセス)。

クリエイティブブリーフこそが、「コミュニケーション戦略」をシャープに設計するツールです。
ブリーフはシンプルなシートですが、訴求メッセージと目的に関して決断を迫る
仕組みが内蔵されています。差別性がないならないなりに、
カテゴリー関与度が低いなら低いなりに、媒体量が少ないなら少ないなりに
何をすべきかをまとめることを要求されます。

実際にブリーフを使うかどうかは別にして、試しに今やっている業務をブリーフに落としてみて、
それができない業務は、NO戦略で進んでいる業務と言っても言い過ぎではありません。

しかし。
一時期さかんに導入されたものの、実際あまり定着しなかったクリエイティブブリーフ。
それはなぜでしょう?

理由のひとつには、逆説的な意味で言えば
日本の大手広告代理店システムの「すごさ」があると思います。
「総合代理店」というくらいですから、担当営業が「とにかくすべて、うちにお任せください」という形で、
業務を請け負うという仕組みになっています。
その結果、これまでのコミュニケーション開発のプロセスが「なんとなく、ゆるーくお任せ」になってきた
側面を否定できません。
それは、ある時期までクライアント及び代理店の双方にとって、いい仕組みでした。

カンタンにいうと、コミュニケーション開発の「ある部分」をブラックボックスになっていたのです。
その「ある部分」は非常に抽象度、難易度が高い部分です。
論理的思考力と、感覚的センスと、経験が必要です。

代理店サイドでは、優秀なクリエイティブディレクターと一部の戦略プランナー、営業
そして、クライアントサイドでは、かつては少なからずいた「経験豊かな宣伝部のプロ」及び
一部の「センスのいいブランドマネージャー」しか議論の中身すら理解できない
コミュニケーションのコア構造があるわけです。

本来は、ここの部分の議論をクライアントとエージェンシーが、ぎりぎりつめることで、
クオリティの高いコミュニケーションが出来るのですが、中身が難しい。
そこで、そのパートを飛ばして、「できあがりの絵」「アウトプット」を見て、感覚的に選ぶ
というやり方が、それなりの合理性を持ってきたのです。
だからこそ、エージェンシーはブラックボックスを価値として売れたし、
クライアントも、結果として欲しいものを、手に入れることができたのです。

こういう書き方をすると、
「いやいや、我々の業務はちゃんと戦略をつくってから、クリエイターにオリエンしているよ」
という、代理店営業、プランナーや、ブランドマネージャーからの意見を頂きそうです。
もちろんそういうケースも多いでしょう。

でも、そこで改めて問いたいのは、
「その戦略は、マーケティング戦略ですか?コミュニケーション戦略ですか?」ということです。

マーケティング上のポジショニング、すなわちイコール、コミュニーケーション戦略ではありません。
そうなる場合もありますし、そうなることが多いカテゴリーもありますが、それは限定的です。
マーケティング上のポジションニングは、「ブラックボックス」の入り口ではありますが、
感覚的に言うと、ブラックボックスの入り口を1/5ほど入った所まで、くらいまでです。

また、この時代に広告の役割として大切になってきているエモーショナルコネクションの形成
あるいは「自分ゴト化」という視点を、しっかり入れないと、コミュニケーション戦略に
なりません。だから、インサイトという概念も重要になってきたのです。

ちょっと長くなってきたので、まとめます。

・クリエイティブブリーフは、コミュニケーション戦略のコア

・本質的には非常に抽象度が高く、難易度の高いもの

・商品オリエンに、コミュニケーション戦略として立体的でシャープな息吹を吹き込み、
 クリエイティブブリーフに昇華させるプロセスが大切

まだ、議論が足りないので、次回はこの続きとして
クリエイティブブリーフは、「契約」か「仮説」か、について書きます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

Check

Clip to Evernote

関連記事

    None Found

コメント

テスト

2011/02/12 22:00 | admin

コメントの投稿

Spam Protection by WP-SpamFree

トラックバックURL: http://www.isobekoki.com/planning/330/trackback